三上靖史

日本映画のデータベース。東映などの劇場公開作品の動画の配信(ストリーミング)やDVD、視聴の情報。時代劇、特撮、アニメなどの名作・傑作ラインナップです。(ムービー研究家・三上靖史)

東映が映画配信サービス(ムービーサーカス)

2004年3月2日、読売新聞、東京夕刊

映画会社の東映は、劇場公開邦画を配信するサービス「ムービーサーカス」を開始した。好きな作品を選んで視聴できるビデオ・オン・デマンド方式で本編をストリーミング配信するほか、作品情報、予告編なども公開、「ネットシネコン」を目指す。

特撮BBではテレビ番組を配信

東映では2002年夏から、テレビ向け特撮作品を配信する「特撮BB」を開始、2003年5月からはビデオ映画やお色気作品を集めた「おとなの映画BB」を運営している実績がある。

飢餓海峡、仁義なき戦い、銀河鉄道999など

今回は公開メジャー作品ばかりをそろえ、子供から年配までを視野に入れた一般向けサービス。「飢餓海峡」「仁義なき戦い」「鬼龍院花子の生涯」など名作からアニメ「長靴をはいた猫」「銀河鉄道999」まで、「現代劇」「時代劇」「特撮」「アニメ」の4ジャンルをそろえる。開始時は30作品を用意、2003年4月以降は毎月10~20作品を追加予定。

視聴料金は1作400円

「ワンピース」劇場版のダイジェストを無料配信

視聴は1作400円(消費税込み)で、7日間以内なら繰り返し見られる。3月中は「ワンピース」劇場版の1作~3作のダイジェストを無料で配信する。

サービスは当面、NTT東日本のブロードバンドユーザー向けだが、東映では順次拡大の意向で、「月6~8万アクセスを目指したい」としている。

「日本漫画映画の全貌」展

2004年12月28日、神戸新聞、朝刊

90年間のアニメの名場面

宮崎駿監督の新作アニメーション映画「ハウルの動く城」が公開され、話題を集めている。2003年は宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」が米アカデミー賞の長編アニメ賞を得るなど、日本のアニメはいまや世界に注目される文化に育ったが、そこに至るまでには90年近い歴史の積み重ねがある。神戸市の大丸ミュージアムKOBEで2004年12月29日から開かれる「日本漫画映画の全貌(ぜんぼう)」展では、大正期に始まる漫画映画の流れを3つの時代に分けてたどる。

アニメの父・政岡憲三「くもとちゅうりっぷ」
戦前の白黒短編

戦前の白黒短編作品時代では、アニメの父・政岡憲三が脚色や演出を担当した「くもとちゅうりっぷ」(1942年)の場面や、手探りで技術を確立した当時の作業風景を紹介する。

日本初のカラー長編漫画映画「白蛇伝」
森康二の「長靴をはいた猫」

戦後のカラー長編作品時代は、東映動画の名作が中心。日本初のカラー長編漫画映画「白蛇伝」(1958年)の原画や、アニメの神様と称される森康二が描いた「長靴をはいた猫」(1969年)のキャラクターシートなどを展示する。

東京ムービーやジブリ

最後は、伝統を受け継いだ東京ムービーやスタジオジブリの時代。宮崎駿による「パンダコパンダ」(1972年)「風の谷のナウシカ」(1984年)「となりのトトロ」(1988年)「もののけ姫」(1997年)「千と千尋の神隠し」(2001年)のイメージボードなどが並ぶ。

また、高さ約3メートルの「ハウルの動く城」のオブジェや戦前の撮影台「マルチプレーン」も登場する。

懐かしい傑作から最近の話題作まで、記憶に残る名シーンともう一度出合えそうだ。

「どうぶつ宝島」などを盛り込んだ短編上映も

会場内のミニシアターでは、この展覧会のために作られた短編映画「まんがえいがはったつし」(11分)を上映する。「わんぱく王子の大蛇退治」(1963年)「どうぶつ宝島」(1971年)などを盛り込み、アニメ映画の楽しさと魅力を伝える。また会場の各所では、戦前の名作からジブリの人気作までの名シーンが流される。

大丸ミュージアムKOBEで開催

「日本漫画映画の全貌」展(神戸新聞社など主催)は2004年12月29日~2005年1月15日、神戸・元町の大丸ミュージアムKOBE(大丸神戸店9階)で開催。

入場は午前10時-午後7時半(12月31日は午後6時、最終日は午後5時閉場)、元日休館

一般800(600)円、大高生600(400)円(カッコ内は前売り、10人以上の団体など)、中学生以下無料

展示作品の例
  • 森康二が後年描いた「長靴をはいた猫」のペロのイラスト
  • 「風の谷のナウシカ」のイメージボード(宮崎駿)
  • 「ルパン三世 カリオストロの城」のイメージボード(宮崎駿)
  • 「となりのトトロ」のネコバスのイメージボード(宮崎駿)
  • 「わんぱく王子の大蛇退治」の1シーン
  • 「パンダコパンダ 雨ふりサーカス」のイメージボード(宮崎駿)
  • 「くもとちゅうりっぷ」の1シーン

見たい映画、ネットでゲット 配信サービス続々

2007年2月4日 読売新聞、東京朝刊

映画やアニメーションのインターネット配信サービスが本格化してきた。かつてはネットを脅威と見ていた映画会社も「守り」から「攻め」に転じた。ネット配信が新たな収益源になると見て専用ポータル(入り口)サイトを開設したり、携帯電話向けにアニメを配信するなど、積極的にネットを活用している。

DVDよりネット配信

ネット配信のメリットは、ビデオやDVDで発売するよりも製造コストが安く上がることだ。国内では、コストが引き合わずに、ビデオ化やDVD化されずに眠っている映画作品が多い。ネット配信では、こうした作品の再活用ができる。

東映ムービーサーカス

動画配信サイトで旧作配信

東映は、映画配信ポータルサイト「東映ムービーサーカス」を開設し、動画配信サイトを通じて約240本の映画を配信中だ。往年の時代劇など、DVD化されていない旧作を積極的に配信している。日活も「銀座の恋の物語」や「南国土佐を後にして」など100作品をネットで配信している。

ソニー・ピクチャーズ

洋画系のサービスは、新作が比較的早く配信されるのが特徴だ。ソニー・ピクチャーズでは原則、新作はDVDやビデオの発売から90日後にネットで配信している。

地上波、衛星放送などのテレビ放映が優先

一方、国内の映画会社の場合、邦画の新作なら劇場公開からネット配信まで3年程度かかるのが通常とされる。ネット配信までに出来るだけ多くの収益を上げようと、地上波や衛星放送などでテレビ放映されることが多いためだ。

松竹の「シネリエ」

松竹は2006年12月、映画配信ポータルサイト「シネリエ」を開設した。1作品について3500字程度の解説と豊富な写真で魅力を紹介する「映画のソムリエ」のようなサイトを目指すとしている。

ショウタイムで購入

視聴者は、シネリエで見たい作品を選び、このサイトとリンクしている「ショウタイム」などの動画配信サイトを通じて作品を購入する仕組みだ。

料金は1作品367円

シネリエは今のところ、高峰秀子主演の「二十四の瞳」や小津安二郎監督の「長屋紳士録」など16作品を用意している。料金は1作品367円で、購入後7日間は何度でも視聴できる。松竹は2007年末までに約100作品を配信する計画だ。

ディズニーが携帯向けに配信

携帯電話向けの配信も始まった。ウォルト・ディズニー・ジャパンは2006年9月から、NTTドコモの携帯電話向けにアニメを配信している。「ディズニークラシック短編集」など3作品を配信中で、2007年8月までに28話に増やす予定だ。アニメは1本が最長20分で、月額315円を支払えばすべての配信作品を何度でも視聴できる。

角川はNTTドコモと提携

角川グループホールディングスも携帯配信を狙って、NTTドコモと資本・業務提携した。今後、角川グループの映画やアニメの予告編もドコモの携帯電話向けに配信する予定だ。

野村総合研究所によると、映像配信市場は2006年度の181億円から11年度には950億円規模へと5年間で5倍以上に急成長する見通しだ。

映画館の興行収入

映画会社が作品のネット配信に力を入れ始めたのは映画館の興行収入やDVD販売額が伸び悩んでいるため。日本映像ソフト協会の調べによると、2005年のDVDとビデオの売上高は前年の98.8%と、2000年以降で初めて減少に転じた。映画の興行収入と入場者数は、2006年は好調だったものの、大ヒットが少なかった2005年は前年比で減少していた。

ブロードバンド(高速大容量通信)の普及で家庭のパソコンでもスムーズな動画が見られるようになったことも、映画会社のネット配信を後押ししている。