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(c)東映 |
| 火宅の人 |
天然の旅情の赴くまま、旅を愛し、酒を愛し、女を愛して、無頼奔放にしかも豪胆に転々流浪する男の浪漫。生の実証を求めて戦後を生きた作家、檀一雄。昭和30年から20年間にわたって、自らの豪放な浪漫的生涯を心魂込めて書き上げ、遺作となったのが、この『火宅の人』。昭和50年10月、病の床で仕上げられ刊行されると、たちまちベストセラーとなり、読売文学賞・日本文学大賞を受賞した。また、深作欣二監督が、10年来の念願であった映画化ともなる。
監督 深作欣二
(1986年 123分)
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昭和31年夏、桂一雄は新劇女優矢島恵子と事をおこす。この時期に何故か一雄の近辺に凶事が積み重なっていたのだった。一昨年の夏は、奥秩父で落石に遭い肋骨を3本骨折。昨年の夏には、次郎が日本脳炎に罹り、命は取り留めたものの、言葉も手足も麻痺したままだった。今年の夏が近づき、一雄は不吉な予感に突き動かされるように、太宰治の文学碑の除幕式に参加するに際し、恵子を青森行に誘ったのだった。最初の妻リツ子に死なれ、窮乏のドン底であった一雄の所に後妻としてヨリ子がやって来た。腹違いの一郎をはじめ、次郎、弥太、フミ子、サト子の5人の子供を育て、その掛け替えのなさを知る一雄は、その家庭を破壊しないことが結婚以来の信条でもあった。青森から帰った一雄から全てを打ち明けられたヨリ子は、翌日家を出て行った。一雄は若々しい恵子との情事の虜となっていった。だが、陶酔が覚めると子供たちのことが頭を過ぎっていくのだった。そして、一雄と恵子の関係を知った友人、知人、家族、親戚といった八方からの非難の声が降り注いだ。そんなある嵐の夜、ヨリ子が帰ってくる。子供たちと生きる覚悟を決めたというヨリ子。入れ替わりに、一雄は家を出た。浅草の小さなアパートで恵子との新しい生活が始まるが、それは危うい翳りを背負ったものだった。やがて、恵子は妊娠するが、女優として大切な時期ということもあり、堕胎を決意する。病院への同行を一雄に願うが、仕事に追われる一雄にはそんな暇がなかった。その夜、二人は派手な喧嘩となり、家を飛び出す一雄。逃げるように東京を離れ、博多、長崎と流れ歩き、五島列島行の船へと乗った。この船で葉子という女と出逢う。五島列島の野崎島は葉子の生まれ故郷だった。義父に10年前に犯されるといった暗い過去を持つ葉子が帰郷したのは、シンガポールに住む金持ちの華僑に求婚されていたからだった。二人の孤独な魂は、自然と寄り添い合い、葉子は一雄の全くアテのない旅の道連れとなった。だが、返事をこれ以上延ばせないという事情もあり、葉子は一雄への感謝の言葉を残し、一人旅立っていく。一雄もまた東京へと戻った。久々に家族と過ごす一雄のもとに、次郎の死が知らされる。次郎のお葬式の日、浅草から一雄の荷物が届けられる。差出人は矢島恵子。その恵子から忘れ物があるという知らせが届く。浅草の部屋を訪れると、部屋はキレイに片付けられており、恵子から差し出された包みを解くと、それは一足の古靴であった…。
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